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C型肝炎の症状・潜伏期間・感染経路・検査・治療
C型肝炎を一言でいうと
潜伏期間 | 感染経路 | 感染部位 | 自覚症状 | 放置リスク |
---|---|---|---|---|
1~2ヶ月 (急性肝炎) | (主に)血液感染 性交(セックス) オーラルセックス アナルセックス 母子感染 | 肝臓 | 大半の人は症状が出ない | 肝硬変 肝臓がん |
こんな時は要注意
C型肝炎とは
C型肝炎はC型肝炎ウイルス(HCV)に感染して起こる肝臓の病気です。
C型肝炎のウイルスは1989年に見つかったウイルスで非常に歴史が浅く、輸血用の血液を介して感染が広がってしまったウイルスとしてよく知られているウイルスです。
HCVに感染すると、約70%が慢性肝炎という病気を引き起こします。
慢性肝炎になると、肝臓が慢性的に炎症を起こし、発熱や黄疸(体や白目の部分が黄色っぽくなること)、全身倦怠感などの症状が出現します。
治療が行われないと慢性肝炎は肝硬変や肝臓がんへと進行します。現在の肝臓がんの原因の大半がこのHCVに感染することで起こる肝硬変です。
C型肝炎は日本の慢性肝炎のうち約70%を占め、無症状の人を含めるとHCV感染者は150万〜200万 人いると推測されます。
感染していることに気づかない人、あるいは感染を知っていても放置したまま治療を受けない人が多いという問題もあります。
C型肝炎の原因
C型肝炎ウイルス(HCV)が原因です。
HCVは体液を介して体内に入り込み、肝細胞に感染することで発症します。
C型肝炎の症状
男女共通の症状
<急性肝炎>
C型肝炎ウイルスに感染すると、1〜2ヶ月の潜伏期間を経て急性肝炎を起こすことがあります。
- 倦怠感
- 発熱
- 黄疸
- 赤褐色尿
<慢性肝炎>
急性肝炎を起こした人のうち、7〜8割の方はウイルスが体内に残り、慢性肝炎になってしまいます
- 発熱
- 黄疸(体や白目の部分が黄色っぽくなること)
- 全身倦怠感
C型肝炎の感染経路
- 血液感染
- 性交渉(セックス)
- 母子感染
C型肝炎ウイルスの主な感染経路は血液感染です。
日本では、1992年以前の輸血、HCVの混入した血液製剤、覚醒剤の注射、刺青などが原因の中心です。
性交渉もHCVの感染経路の一つではありますが、頻度は低いです。
その理由は、精液や頸管粘液に感染性のウイルスを含む例が少ないからだと考えられています。
最近では医療器材の再使用禁止の徹底、輸血前の検査体制の確立によって、血液ルートでの感染はほとんどなくなりました
確率は少ないですが出産時の母子感染なども原因になります。
基本的には健康な皮膚からは感染しませんので、学校や会社などで通常の生活を送っている分には感染することはありません。
C型肝炎の潜伏期間
急性肝炎:1~2ヶ月
C型肝炎の検査方法
C型肝炎ウイルス(HCV)に感染しているかどうかを調べるには、まずHCVに対する抗体が血中にあるかどうかを調べる検査(HCV抗体検査)を行います。
この検査で陽性の場合は、過去にHCVに感染していたか、あるいは現在HCVに感染していることを示します。
ただし、感染初期にはHCV抗体は陰性になるため注意が必要です。
もし、HCV抗体検査で陽性となった場合は、今現在HCVが血液中にいるかどうかを調べます。
それがHCV-RNA検査という検査で、ウイルスの遺伝子の有無を調べ、現在もHCVが体内にいるかどうか判断します。
これらの検査でHCVに感染している可能性がある場合は、専門の医療機関で肝炎の進行状況や治療方針を決める検査を行いましょう。
\ 忙しくて病院に行けない人におすすめ /
C型肝炎の検査ができるところ
- 病院・クリニック
- 郵送検査(性病検査キット)
- 保健所
※一部の保健所で、C型肝炎の検査を実施しています
C型肝炎の治療方法・治療期間
抗ウイルス薬の投与を2-3か月行う必要があります。
治療の詳細については専門家に相談しましょう。
C型肝炎ウイルスを体内から排除し、肝硬変や肝臓がんにならないようにする治療法は 2014 年まではインターフェロン(IFN)という注射の治療法のみでした。
現在は抗ウイルス薬の進歩により、内服薬によってHCVの完全排除が可能になっています。
数ヶ月間、集中して内服治療を行うことで95%以上の方のウイルスを消失させることができます。
C型肝炎の予防方法
現在のところ、C型肝炎を予防するためのワクチンはありません。
感染経路は血液のため、C型肝炎ウイルスに感染している人の血液になるべく触れないことが大切です。
具体的には、歯ブラシ、カミソリなどを共用しない、他の人の血液に触るときはゴム手袋を着ける、入れ墨やピアスをするときは、清潔な器具であることを必ず確かめる、
よく知らない相手との性行為にはコンドームを使用する、などが大切です。
C型肝炎の参考文献
本コンテンツは下記データ・文献を元に医師が執筆・監修しています。
- Workowski, Kimberly A., Laura H. Bachmann, Philip A. Chan, Christine M. Johnston, Christina A. Muzny, Ina Park, Hilary Reno, Jonathan M. Zenilman, and Gail A. Bolan. 2021. “Sexually Transmitted Infections Treatment Guidelines, 2021.” MMWR. Recommendations and Reports: Morbidity and Mortality Weekly Report. Recommendations and Reports / Centers for Disease Control 70 (4): 1–187.
- 性感染症 診断・治療ガイドライン2020