HIV(エイズ)の症状・潜伏期間・感染経路・検査・治療

HIV(エイズ)を一言でいうと

スクロールできます
潜伏期間感染経路感染部位自覚症状放置リスク
約2週間
(急性感染期)
性交(セックス)
オーラルセックス
アナルセックス
血液感染
母子感染

血液
程度は様々エイズ期に入ると様々な病気のリスク

こんな時は要注意

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HIV(エイズ)とは

ヒト免疫不全ウイルス(human immunodeficiency virus;HIV)は全身の免疫細胞に感染するウイルスで、感染したまま無治療のまま長時間経過すると、免疫系が徐々に破壊され様々な感染症にかかってしまいます。

この状態が後天性免疫不全症候群(AIDS:エイズ)と呼ばれる状態です。HIVに感染していても、特定の疾患を発症していなければエイズとはいいませんので注意が必要です。

世界的な患者数は、1990年代~2000年代においては、新規HIV感染者報告数は増加傾向にありましたが、2008年以降は横ばいに転じている状況です。

ただ、世界中で感染者はおよそ3770万人、年間150万人の新規感染者と約68万人のエイズによる死亡者が発生しており、現在地球上に存在する感染症の中でも最も深刻な感染症の一つといえます。

HIV(エイズ)の原因

病原体として、ヒト免疫不全ウイルス(human immunodeficiency virus1:HIV-1、human immunodeficiency virus2:HIV-2)が原因です。

HIV(エイズ)の症状

男女共通のHIVの症状

<急性感染期>:感染後2週間目〜4週間目

HIVは急激に体内で増殖を始め、インフルエンザに似た症状が出現します。
初期症状は数日から10週間程度続き、その後自然に消えてしまいます。

  •  発熱
  •  咽頭痛
  •  筋肉痛
  •  皮疹
  •  リンパ節腫脹
  •  頭痛
※症状は全く無自覚の程度から、意識障害に至るほどの強いものまでその程度は様々です。

<無症候期>

急性期を過ぎると、何も症状の出ない時期が数年から10年程続きます。
この時期は自覚症状がないので、HIVの検査を受けない限り自分ではHIVに感染していることが分かりません
症状が出なくても、体内ではHIVが増殖を続けており免疫力は徐々に低下していきます。
また、HIVを他人に感染させる能力も有している期間です。

※この期間は個人差があり、15年経っても症状が出ない人もいれば、感染から数年でエイズを発症する人もいます。

<エイズ期>

HIVに対する治療を受けないで自然に経過した場合、免疫力の低下により健康な人なら感染しないような病原体による感染症や悪性腫瘍、神経障害などの様々な病気にかかるようになります。
厚生労働省はエイズ診断基準として全部で23の疾患を指定しており、その中のどれか1つでも発病した時点でエイズ期となります

HIV(エイズ)の感染経路

  • 性交渉(セックス)
  • オーラルセックス
  • アナルセックス
  • 血液感染
  • 母子感染

HIVの感染源となるのは、精液・膣分泌液・血液・母乳などです。
よって、主な感染経路は、性行為による感染、血液を介した感染、母子感染の3つになります。
これらの体液が通常の皮膚に触れても感染はしませんが、粘膜や傷口に直接触れると感染する可能性があります。

全体の8割以上の患者さんが性行為による感染です。
膣性交、アナルセックス、性器や肛門をなめる行為などが感染の可能性のある代表的な行為といえます。

血液感染は、覚醒剤の静脈注射の回しうちなど注射器具の共有によって感染することがあります。
また、母親がHIVに感染していると、妊娠中・出産時にHIVが子供に感染する可能性があります。
それ以外にも、授乳によって伝播する可能性もあります。

日本では、HIV感染が判明している母親には薬を内服してもらい、赤ちゃんに母乳を与えないなどの対策をとることで、母子感染を予防しています。

HIV(エイズ)の潜伏期間

急性感染期:感染後 約2週間

HIV(エイズ)の検査方法

一般的に、HIVを診断する時には、「スクリーニング検査」と「確認検査」の2種類の検査を行います。

HIV感染症を疑ったときに、まず行われる検査がスクリーニング検査です。
スクリーニング検査では見落としのないように作られている一方で、本当は感染していないのに、陽性(感染している)という結果がでてしまうことがあります。

そのため、スクリーニング検査で陽性と判断されただけでは、HIV感染が確定したわけでは無いことに注意が必要です。
確認検査によってウイルスのタンパク質の有無を確認し、本当に感染しているのかを確認するのが一般的です。

ただし、HIVに感染すると、通常、血液中でHIVに対する抗体が検出されるようになるまで4週間くらいかかりますので、感染から4週間以内に検査を受けた場合は感染していても陰性となる可能性があります。

正確に判定するためには感染が疑われる行為があってから、3か月程度経過してから検査を受ける必要があります。

HIV(エイズ)の検査ができるところ

※一部の保健所で、HIV(エイズ)の検査を実施しています

HIV(エイズ)の治療方法・治療期間

HIV・エイズの治療薬
HIV(エイズ)の治療期間

ウイルス量を抑える目的で内服するため、一生涯治療が必要な場合があります。
治療の詳細については専門家に相談しましょう。

HIV感染症の治療は3~4種類の抗HIV薬を組み合わせて内服する併用療法が基本となります。
治療の目標は、体内のウイルス量を検出できないレベルまで低くしてそれを維持することです。

最近では、2〜3種類の成分がひとまとめになった合剤もでており、1日1回1錠内服での治療も可能となっています。
とはいえ、状況によって使用する薬剤が異なること、副作用が内服開始後の初期に起こりやすいことなどがあるため、治療の際にはHIV感染症の治療を専門的に行なっている医療機関での治療を強くお勧めいたします。

また、社会福祉制度を使えば、自負担額を抑えることができるため、経済的な心配なく治療を継続することができます。

HIV(エイズ)の予防方法

コンドームでHIV・エイズ予防

性行為する場合は、より安全な性行為を行うことが重要です。
より安全な性行為とは、コンドームを正しく使用して、精液・膣分泌液・血液などが直接触れないようにすることです。
相手にHIV感染させないために、また、他の性感染症等から自分を守るためにも感染予防行動が必要です。

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HIV(エイズ)の参考文献

本コンテンツは下記データ・文献を元に医師が執筆・監修しています。

  • Workowski, Kimberly A., Laura H. Bachmann, Philip A. Chan, Christine M. Johnston, Christina A. Muzny, Ina Park, Hilary Reno, Jonathan M. Zenilman, and Gail A. Bolan. 2021. “Sexually Transmitted Infections Treatment Guidelines, 2021.” MMWR. Recommendations and Reports: Morbidity and Mortality Weekly Report. Recommendations and Reports / Centers for Disease Control 70 (4): 1–187.
  • 性感染症 診断・治療ガイドライン2020